ニューハーフショーって知ってる?
こういうやつ。
タイにはニューハーフ、いわゆるおかまが沢山いてて。
そのニューハーフ達がショーを行う。
派手なドレスとかサンバみたいな格好で、大勢で歌ったり踊ったり。
タイと言ったらニューハーフショー。
ニューハーフショーと言ったらタイ。
ていうくらい結構有名らしい。
大学生の男3人で卒業旅行にタイ行くかぁ!
ってなったとき
「なんかおもろそうちゃう?」
て予約して旅行最終日に攻めることになった。
そう、この時は何も知らずに無邪気に旅行の計画を立ててた。
タイのニューハーフショー
見たことある人はわかると思うんやけど
これが結構クオリティ高い!
みんなほんまに綺麗!
場所によるけど
有名どこやったから1人4000円くらいした気がする。
みんな本気で女性に生まれ代わって
楽しんでるのが伝わってくるし
街中で腕を掴んでくるような輩(ニューハーフ)とは大きな違いで僕らも結構楽しんでた。
ちなみに友人Aが中々のイケメンやったから
あちこちでニューハーフに捕まってはチ○コを触られてた。僕は全然さわられへんかったから、なんでやろなーええなーモテる友人Aちょっと羨ましいしちょっと悔しいなーて思ってたんやけど
え?
まぁ話を戻して
当日は途中まで、普通にショーは進んでてん。
途中までは。
マツ○デラックスおるやん!?!?
3人とも目を疑ったんやけど
あれは完全に
マツ○デラックスやった。
「嘘やん!!」
「似すぎww」
「やばいってww」
とか興奮してたんやけど
舞台降りて
こっちに向かって歩いてきた。
なんとなく悪い予感しててん。
でもまさか…て思ってたら
イケメンの友人Aが捕まったww
予感的中。
僕と友人Bで
「やばwwそんなことある!?」
「おいおい羨ましいなー!」
とか声をかけたんやけどそんときも実はほんまに羨ましかった。笑
美味しいな〜て思った。
関西人ってそーゆーとこあるねんな〜
性やから仕方ない。うん。
でも
そのあと友人Aが舞台上に連れて行かれたときはそっと胸を撫で下ろしてた。えっとその、ちゃうねん。別にそこまでは求めてない。
友人Aが、マツ○デラックスと一緒に踊らされたり
軽い芸をさせられてるのを見て
ゲラゲラ笑った。
あれはほんまにおもろかった。
その後も
楽しい時間はそのまま過ぎて
ちゃんと綺麗な人もたくさん出てきて
フィナーレを迎えて終了。
歌いあり笑いありのビッグショーやった。
大イベントである撮影タイム
ショーが終わった後にはお待ちかね。
「好きなニューハーフと写真を撮れる」
ていうイベントがあって
前もって買っておいたチケット(300円くらい)と
引き換えに写真がとれる。
みんな事前に一枚ずつ購入してたから
「誰と撮ろっかな〜」
「あの最後の人綺麗やったよな〜」
「友人A、マツ○デラックスと撮ったら?」
「えってww絶対いや」
とか3人で話しながら会場を出たら
さっきまで歌って踊ってた
ニューハーフ達が大勢いた。ざっと30人くらい?
そしたら
「いたぞ!」
「あいつだー!」
みたいな感じで友人Aが指さされて一気にこっちに向かってきた。やらかした芸能人に詰め寄る週刊誌って感じ。
「写真撮りましょ!!」
みたいな感じであまりに迫ってくるから
友人Aは諦めたらしい。
そこまで言うならしゃーないと。
写真を撮ったるやんけと。
頼まれた僕はスマホで1枚パシャリ。
なにこの状況www
胸をわしづかみさせられてるのは
正直おもろかった。
けど
そっから悪夢が始まった。
友人Aは財布からチケットを渡したんやけど
「私たち2人だから足りないわ!」
てきな感じで現金を引っこ抜かれてた。
それも全然300円ちゃう。
結構な額。
おいおい…絶対金額みてへんやん
詐欺やん…
そしたら側で
今度は友人Bが数人のニューハーフに腕をつかまれてるのが見えた。
「私たちとも撮って!!」
ていう感じで迫られてる友人Bから
しかたなく渡されたスマホを受け取って
シャッターを切った。
捕まってんのになんやかんやニヤけてるし、しっかりピースしてるしちょっとおもろい。
けどちょっと待てよと、
このパターンはと、
「まさか…」
て思ったんやけど時すでに遅し。
チケットが1枚しかない友人Bは現金を要求される。
「はよ金渡さんかい。あんちゃん3人と撮ったやろ?てことは3枚分のカネが必要や」
「ほら、はよ財布出さんかい!」
あれはどー見ても○○○。
僕にはそう見えたし、写真を撮ったあとのニューハーフはまじで変貌してた。
「ちょ、おい!!」
素直に財布を出した友人Bは
現金を数えようとして手に取った、札束のぜんぶを根こそぎ強引にひったくられてた。
え…
うそやん…
正気を取り戻してすでに腕をつかまれてることに気づいた僕は
(やばい、死っっ!)
腕を振り払った。
僕は死にたくなかった。
「ノーマネー!!!!!」
人生で初めて発したこの言葉は
まさにこの瞬間のためにあると思った。
僕は友人A、友人Bを完全に見捨てて
一目散に出口に走った。
途中つかまれる腕を何度も振り払って
「ノーマネー!!!!!!」
近づいてくるニューハーフに向かって
「ノーマネー!!!!!!!」
僕は生きたかった。
なんとか出口に辿り着いて
振り返ったら
まじで戦場やった。
僕らだけじゃなくてみんなやられてた。
みんな。
そしたら
50歳くらいの男性がニューハーフから逃げるようにしてこっちに向かってきた。
ニューハーフは
「待ちなさいよ!」みたいな感じで大声を発してるし、男性も無視して完全にキレてた。
と思ったら
近くにいた奥さんらしき人が自分の財布から紙幣を数枚、乱雑にニューハーフに渡して
そのニューハーフは引き上げていった。
やばすぎ…
もはや驚く気力もない。
その後
ぼろっぼろになった友人A、友人Bと合流して
2人をなぐさめようと思ったけど僕は無傷。
ここはあえて
そっとしておく事にした。
それで
ほとぼりが冷めたころ
「悪い、チケット使ってないから写真撮ってくるわ」
「……………」
嬉しそうな僕。
静かになった戦場に優しい天使がいた。
普通に撮影会が行われてて安心。
さっきまでのはほんまなんやったん…
普通に神対応のニューハーフもいて良かった。
地獄はまだ終わってなかった
内心ご満悦な僕は暗い表情を作って友人A、友人Bの元に戻って合流。
いや、まさかここまで読んで
「サイテーーー。それでも友達か?」
とかないやんな?
だってどうしようもなかったんやで。
一緒にお金を取り返そうたってみんなデカいねんもん。ニューハーフの人達ってみんな元は男やから肩幅あるし身長もある。もちろん力もあるから力づくでやられるわけ。
金を取られた時点で戦うなんて発想すらない。
本能的に
「やばい、死っっ!」
てなったし
財布の中身が生き残ったのも
運が良かっただけ。
まーいつもなら
「財布の中身ほぼやられたんww美人に囲まれてたし良かったやんww」とか
イジってたけど
あまりにショッキングすぎて
そん時はふざけんかった気がする。
それで
ホテルに帰るため、タクシーに乗った。
事件はこのあと起きた。
そのタクシーのおっちゃんが、全然違う方向に向かうからあーだこーだ言って
今度は止まるべき場所を通り過ぎたから、またあーだこーだ言って車を止めてもらった。
「もーやっぱ全然通じひんな〜!にしても今回はあまりにひどいわ!」
てぷんぷんしながら3人とも車を降りてタクシーが去ってから気づいた。
え…ちょっとまって
「あれ、財布ない………うーーーわ、完全にやってもた!!!!!!!!!!」
唯一守り抜いた
大事な大事な現金を
タクシーに落としたらしい。
どれだけ探してもない。
ここは海外。
その後見つかるはずもなく。
友人A「財布の中身の大半やられた」
友人B「札束全部やられた」
僕「財布なくした」
もーほんま最悪…
なにしてんねん…
圧倒的に僕がダサい。ていうか自分が悪いのは僕だけ…ここまできたらもはや笑うしかない。
散々逃げ叫んだ結果
結局本当に「ノーマネー」になったのは
自分やった。
つまり何が言いたいかというと
ニューハーフショーには
気をつけよう!
みんなも行こう!ニューハーフショー!
ニューハーフショー万歳!!!